カツカツカツ、教室内に響くチョークの音。ギシ、ギギギ、教壇の軋み。いずれも、はるか昔に聞いた懐かしい音である。
しかし、 昔と違うのは、それらの音を作り出しているのは自分なのだ。職業 、プロサッカー選手、森岡隆三。「夢先生」として教壇に立った。
日本サッカー協会の活動に「ユメセン こころのプロジェクト」 がある。サッカー界だけでなく、いろんな分野の第一人者が、子供たちに夢の素晴らしさを伝える、という授業だ。
そして光栄にもお話をいただいたという次第である。
いざ当日、自分のたどった山あり谷ありの道を、当時の出来事や感情を交え、話してみた。しかし、緊張もしたし、話もまとまらず
、あまり上手に伝えられたとは言えない。 むしろ真剣なまなざしの 子供たちの夢を聞き、私のほうが夢の素晴らしさを改めて教えられ
、考えさせられた。子供たちの夢は純粋である。素直である。大人と違って変に打算的なところがない。夢に向かって一直線なのである。
サッカーにおいて、夢はゴールに例えることができる。ボールを持ったらまずゴールを目指す。一本のパスでゴールまで行けば最高である。
だが当然ながら、一直線にゴールを目指すのは難しい。だから戦術や駆け引きが生まれる。
しかし、いつの間にかそれらが逆転し、駆け引きが前面に出すぎて、始めに戦術ありきになりすぎることがある。
もちろん壁があるのに、ただがむしゃらに真っすぐゴールを目指し、玉砕するのが良いと言うつもりはない。
それでも、まずはゴールを目指し、壁にぶつかることで、初めて学ぶこともあるのだ。
ゴールへの純粋なる思い、それがなければ何も始まらない! 知らずに自分も頭でっかちで打算的になりすぎてはいなかっただろうか?
短い時間ではあったが本当に有意義で楽しい時間を過ごすことが出来た。夢先生として子供たちに会えただけでも、サッカーという夢を追い続けてきて良かった。
心からそう思えるくらい、夢のようなひと時となった。 |