4歳になった息子が、幼稚園に履いていく靴を、ウェットティッシュで一生懸命に磨いている。親としては送迎バスに乗り遅れはしないかと、時間を気にしながらも、我が子ながら微笑ましい光景に、つい顔が緩んでしまう。
私も子供のころから、「磨く」という行為が嫌いではなかった。親父の革靴に始まり、野球のグローブ、車のワックスがけに、兄貴のバイクまで勝手に磨いたことも。誰に教わったという記憶はないが、親にうまく使われた、という風でもなかった。ただ、物を磨き奇麗にすると、自分も、そして周りも気分が良いものなんだと子供心に感じていた。
最も磨いた物は、やはりサッカーのスパイクである。子供のころの自分にとって、とにかくサッカーに関わるものすべてが宝物だった。買ってもらったばかりのスパイク、ボールを抱いて寝たことも多々ある。スパイクを大事にし、磨き上げることは、私にとって、とても幸せな時間であった。
海外の有名選手と同じひもの通し方をしたり、結び方をまねたりもした。何よりスパイクを磨く時に、白いラインの部分にも靴墨を塗って磨くと、ラインがシルバーっぽくなる。それが格好良くて、たまらなかった。
試合前夜になると、ワクワク感やドキドキ感を抑えるように、プレーをイメージしながら特に念入りに磨いた。
もしかしたら、スパイクを磨きながら、自分自身も研ぎ澄ます。そんな感覚になっていたのかもしれない。
意識せずともベテランと呼ばれる歳になった今日、「昔に比べて丸くなった」と言われることがある。ある意味、褒め言葉ではあるが、正直、プロとしては危機感を覚える。
やわらかく落ち着きを持ちながらも、時に鋭い光を放つ。そんな選手であるべく、より輝きを放てるように、私は自分を磨き続ける。
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