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夏の日の1993 (毎日新聞夕刊に掲載) 2008.7.18 FRI
 夏になると私の頭の中に流れだす曲がある。その歌のタイトルは「夏の日の1993」。
 私がプロの道に進むことを決意した年の、男性デュオ「class(クラス)」のヒットソングである。私の、いや私たちの世代のいわゆる青春ソングというやつだろう。
 夏と言えば、TUBEやサザンオールスターズが定番だったのだが、この年の夏は違った。

 93年、Jリーグが開幕した。日本サッカー界を取り巻く環境は変化し、世間から常に注目されるようになった。  華やかなプロの舞台は、サッカーをする者にとって、より身近な目標となった。

 しかし私はというと、夏の高校総体を終えるまでプロという選択肢は正直、頭の中にはなく、大学に進むことを考えていた。 というよりも、自分はプロで通用するとは思っていなかった、いや自信がなかったのだ。

 そんな折、監督から「プロになるか、大学に進むか決めろ」と言われ、急きょ、鹿島アントラーズにチームメイト数人で練習に参加することとなった。
 それはとても魅力的だった。ほんの数日間だったが、プロの選手達とトレーニングをし、プロの生活を垣間見たことは、とても刺激的だった。 上手くなるためにとことん情熱を費やせる環境がある、そんなプロの生活に憧れた。通用するかどうかと不安を感じるよりも、この世界にトライしてみたい、 という好奇心や希望がはるかに勝っていった。

 そして「やるだけやって駄目だったら、何年かかっても大学に行こう」と考え、プロになることを決意したのだ。 私にとって大きな選択、まさに人生最大とも言える決断だったのだが、その時に思ったことは「あの時あっちを選択したら…」と後悔しないためにも、 自分が進む道を一生懸命に歩んでいこう、どの道を進むにしても、楽しい道にするかつまらない道にするかは自分次第のはずだ、ということだった。

 あれから15年、ひたすらに歩み続けてきたが、サッカーという道は果てしなく奥が深く、故にとてつもなく楽しく、まだまだ、どこまでも歩み続けたいと思う。
 鹿島の寮で昔のチームメイトと将来について語った夜が懐かしい。プロサッカー人生という道への決意の「夏の日の1993」、私は決して忘れない。
 
 
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