このコラムを書き始めて1年ほどになる。「自分に何が書けるのか」という不安もあったが、
始めてみると予想以上に面白い。
最近では「コラム楽しみにしてますよ」と声をかけていただくようにもなった。
大したものは書けていないのは重々承知だが、自分の書いたものを読んでくれている人がいる!
そう思うと照れくさく、恥ずかしいながらも正直うれしいし、気分はいい。
いっぱしの作家さん気分で、今回もコラムを書くべく机に向かったのだった。
ところが……。どうにも話がまとまらない。というより浮かんでこない。
「今日は疲れてるし、明日また」なんて日々のトレーニング疲れを言い訳にしていたら、
締め切りまで1週間を切ってしまった。
徐々に焦りが生まれ、気がつけば、私を完全に支配したのは「panic!(パニック)」である。
「パニック」。それは私にとって実は懐かしい言葉でもある。
まだ若手で清水に在籍していたころ、当時の監督、アルディレスから本当によく聞かされた。
ただし、アルディレスが言っていたのは、その言葉の前に否定形の「Don't」がついた「Don't panic!(ドント パニック!)」。
そう、「パニックになるな」であった。どんな時でも冷静に。毎日のように聞かされた言葉だ。
パニックはミスを誘発する。厳しい勝負になればなるほど、熱いハートに負けない冷静な頭脳を保たなければならない。
私にとって、かけがえのない恩師はそう教えてくれた。
そしてパニックにならないためには、心も体も日々の準備が大切だと私は思う。
「備えあれば憂いなし」である。
私はコラムを書くべく、この1カ月いい準備をしていたのか? そう考えると、
反省すべきところが盛りだくさんで、それはサッカーにも通じるなあ、と深く考えさせられた次第である。
J2は第4クール、いよいよ佳境に入った。ここからはまさにチーム力が試される。
万全な備えで試合に臨むべしである。熱いハートはもちろん、冷静さも忘れずに。
「Don't panic!」。J1昇格へのキーワードになるかもしれない。
*毎日新聞 夕刊(金曜日/月一回)コラム『サッカーマインド』に連載中。 |