先日、家族で奈良までドライブに行った。途中、急きょ、若草山という所に立ち寄ることにした。
私は4月末の試合でひざをけがしてしまったのだが、具合もだいぶ良くなったので、リハビリを兼ねて散歩してみようと思ったからだ。
頂上付近で車を止めて、そこからは歩きである。頂上に向かう途中にちょっとしたぬかるみがあり、
そこで、にょろにょろとミミズが動いているのを見つけた。
2歳8ヶ月になる息子は興味津々で、靴が汚れようが手が汚れようが構わずにはしゃいでいる。
つい「ばっちいぞー、もう行こう」と息子を制しながらも、「ミミズかあ、昔はよく見たよな」と子供のころを振り返っていた。
私は子供のころ、好きとは言えないまでも、雨というのが嫌いじゃなかった。
雨が降ると現れるカタツムリやミミズを見て、どこから出てきたんだ?と本気で不思議だった。
水たまりがあれば、当たり前のごとく突っ込んだ。水が深ければ深いほど、長靴の威力が発揮されるようでうれしくもあった。
傘を持てば、それはいろんな遊び道具に変身した。ぬれる、汚れる、ということを全くいとわなかったころだった。
それはサッカーをする時にはなおさらで、雨の日のグラウンドに水がたまっている日には、
むしろ不思議とテンションが上がったもので、いつもはしないスライディングも張り切ってしてみたりもした。
当時放映していたサッカーアニメの影響か、はたまた男としてのDNAのなせる業なのか。
汚れれば汚れるほど、厳しい環境なら厳しい環境ほど、カッコいい!そう思っていた。
今思えばかわいいもんだなと思うが、自分が成長するうえで、逆境に負けない!
そんな気持ちはもしかしたら一番大事なメンタルだったのではないだろうか。
ふと我に返ると、息子は頂上に向かってダッシュしていた。思わず「行け行け!」と叫んだ。
頂上に着くと、素晴らしい景色と何とも言えない心地の良い風が僕らを待っていた。
立ち止まるのも悪くないな、と思えたすてきな寄り道だった。
*毎日新聞 夕刊(金曜日/月一回)コラム『サッカーマインド』に連載中。 |