ここ数年、めっきりと映画館に足を運ぶことの少なくなった私だが、今、ひそかに見たい映画がある。
それは「ロッキー・ザ・ファイナル」だ。
小、中学生時代に「ランボー」「ロッキー」などを見て興奮した私にとって、
シルベスター・スタローンは、いわゆるヒーローの一人なのだ。
どんな状況でも絶対にあきらめずに戦う。映画の中でも外でも、それが信条のスタローンを、
私がスクリーン上で初めて見た時、彼はサッカーのゴールキーパーをしていた。
タイトルは「勝利への脱出」。その映画にはサッカーの神様ペレ、
そして私の恩師であるオズワルド・アルディレス(元清水監督)といったスーパースターが出演していた。
映画の中で、第二次世界大戦中にナチスドイツの捕虜にされてしまったペレやアルディレス、
そしてスタローンたちが連合軍として、ドイツ軍とサッカーの試合をすることになる。
そして、その試合のハーフタイムに、ロッカールームから脱出しようという計画を企てるのだが、
完全なるアウェーゲームの中、度重なる悪質なファウル、不公平でひどいジャッジが、逆に連合軍の闘志に火をつけ、
後半も誰一人逃げることなくピッチに立ち、最後まで戦うのである。
その連合軍の戦う姿勢が、観衆、そしてドイツ軍士官の心までも動かし、最後は観衆に紛れて脱走するというものだ。
正直言って、幼少であった私には詳しい内容、戦時下のいろんな背景は、ほとんど理解できなかった。
だが、戦う男の姿勢、皆で力を合わせる事の素晴らしさ、何より人種や言葉の壁も越え、
人の心を動かすサッカーの持つ大きな力を子共ながらに感じ、心をふるわせた。
今思えば、それは、私が初めてサッカーの魅力に触れた瞬間であったのかもしれない。
そして困難に立ち向かう、スタローンの姿にまだ子共だった私は、素直に感動を覚えた。
あなたのヒーローは誰だろう? ロッキー=スタローンは私の原点である。
私もサッカーを通じて、人に感動を与えることのできる、そんな男になりたい。
*毎日新聞 夕刊(金曜日/月一回)コラム『サッカーマインド』に連載中。 |